定年後の私が発見した家事の楽しみ方
1. 食洗器の上手な使い方
「え?今さら食洗機?」
私が妻から食洗機の購入を提案されたとき、最初に浮かんだ言葉です。
40年間の営業マン生活を終え、ようやく手に入れた定年後の静かな生活。
その中で、思いもよらない「新しい家電」との出会いが待っていました。
実は、営業マン時代のお客様から、食洗機については様々な声を聞いていました。
「手洗いの方が早いわよ」
「電気代がかかって仕方ないわ」
「でも、一度使うと手放せなくなるのよね」
相反する評価の中で、私自身は「必要ないかな」と思っていたのです。
しかし、妻の
「あなたにも家事を手伝ってほしいの。私の手も荒れにくくなるし…」
という言葉に、重い腰を上げることにしました。
2. 食洗機の基本知識
そもそも食洗器って!?
1. 種類と特徴
食洗機には主に3つのタイプがあります。
**ビルトインタイプ**
– キッチンに組み込むタイプ
– 見た目はスッキリ
– 工事が必要で、後付けは大変
**据置タイプ**
– キッチンの空きスペースに置くタイプ
– 工事不要で、賃貸でも使える
– 見た目は少し場所を取る
**食器かごタイプ**
– 小型で、1人暮らしや2人暮らしに最適
– 価格が手頃
– 一度に洗える量は少ない
2. 我が家の選択(据置タイプ)
結局、我が家が選んだのは据置タイプ。
選んだ理由は
1. **工事不要**:「将来、息子夫婦と同居するかもしれない」という妻の言葉で、固定設置は避けました。
2. **容量と価格のバランス**:毎日の食器を無理なく洗える大きさで、予算も10万円以内に収まりました。
3. **使い勝手**:私の身長に合わせて、かがまずに食器の出し入れができる高さでした。
価格は89,800円(税込)。
営業マン時代の経験から、この価格帯が性能と信頼性のバランスが取れていると判断しました。
3. 電気代と水道代の話
最初の不安は、やはり光熱費。
しかし、実際に使ってみると意外な発見がありました。
**電気代**
– 1回あたり約25円
– 毎日1回使用で月額約750円の増加
**水道代**
– 1回あたり約12リットル
– 手洗いの場合、シンクいっぱいのお湯(約30リットル)を2回使用
計算してみると、意外にも食洗機の方が経済的だったのです!
特に水道代の節約は顕著でした。
「水は大切に」が口癖だった父の顔を思い出しながら、妻の選択は正しかったと感心したものです。
3. 準備編:効率的な使い方の基本
まずどうやって使う!?
1. 設置場所の工夫
最初の大きな山場は設置場所の選定でした。
我が家の失敗談をお話ししましょう。
当初、キッチンの端に置いたところ、排水ホースが短すぎて流し台まで届かず、慌てて場所を変更することに。
結局、以下のポイントを考慮して配置を決めました。
– 流し台からホースが届く距離(1m以内)
– コンセントの位置(延長コードは使わない)
– 開閉スペースの確保(約1m)
収納スペースとの兼ね合いも考えましたが、「家事の効率を優先しよう」という妻の一言で、食器棚を1つ処分。
後々、この決断が正解だったと感じています。
2. 洗剤の選び方
洗剤選びは、意外にも娘が主導してくれました。
**粉末 vs. タブレット**
– 粉末:安価だが、計量が面倒
– タブレット:少し高いが、投入が簡単
娘お薦めのタブレット型を使用してみると、確かに便利。
「お父さん、これなら間違えようがないでしょ?」という言葉に、少し照れくさい思いをしました。
実は100均の洗剤も試してみました。
結果は…微妙。
匂いは気にならないものの、油汚れが少し残る印象。
結局、中級品のタブレット型に落ち着きました。
3. 食器の準備
「予洗いはどこまで必要?」これが最初の大きな疑問でした。
試行錯誤の結果、我が家のルールはこうなりました。
1. 大きな食べ残しは捨てる
2. こびりついた汚れは10秒程度水で流す
3. 乾いた汚れは、食後すぐに水に浸けておく
特に3番目は、営業時代の「クレーム対応の基本は先手を打つこと」という経験が活きています。
**100均グッズを活用した置き場所作り**
1. 水切りかごを2つ用意
– 1つは洗い終わった食器用
– もう1つは洗う予定の食器用
2. 仕切り板で種類別に区分け
– 取り出しやすさを重視
– 割れ物の保護も考慮
4. 実践編:上手な使い方のコツ
上手に使うには!?
1. 食器の入れ方
ここで、40年の営業経験が意外な形で役立ちました。
商品陳列の基本は「見やすく、取りやすく、美しく」。
この原則を食洗機の中にも応用したのです。
**種類別の最適な配置**
– 上段:軽いもの、壊れやすいもの
– グラス、湯飲み、茶碗
– 下段:重いもの、かさばるもの
– 大皿、鍋、フライパン
特に意識したのが、水流の通り道。
営業時代、店舗の人の流れを考えた商品配置をしていたように、食洗機内の水の流れを想像して配置しています。
2. 時短テクニック
**朝・昼・晩の使い分け**
– 朝:前日の夜の食器を洗う(6:30スタート)
– 昼:溜まった食器を回す(13:00スタート)
– 夜:夕食の食器を洗う(21:00スタート)
電気代の安い時間帯を考慮しつつ、生活リズムに合わせた時間設定にしました。
**溜めずに回す?溜めてから回す?**
結論:適度に溜めて回す
– 理由1:電気代・水道代の節約
– 理由2:1日3回のリズムが生活の目印に
3. スペース活用術
我が家流の「立体的な収納方法」をご紹介します。
1. コップ類は専用のラックを使用
– 100均の水切りカゴを改造
– 斜めに配置して、より多く収納
2. お椀は「入れ子」に
– 大きいものから順に重ねる
– 間に箸を挟んで、隙間を作る
3. 平皿は専用の仕切り板を活用
– 100均の仕切り板を、サイズに合わせてカット
– 立てて配置し、より多くの皿を収納
取り出しやすさは、妻と二人三脚で改善しました。
特に、毎朝使う食器は取りやすい位置に。
休日の朝食準備が、私の日課になっています。
5. メンテナンス編
メンテナンスは、営業マン時代の「アフターフォローは商談の始まり」という教訓そのものです。
定期的なお手入れで、食洗機との長いお付き合いを目指しましょう。
1. 日々のお手入れ
**フィルターの掃除**
– 毎回使用後に取り出して水洗い
– 私の「朝活」の一つに
– 週末は息子に任せることも(彼の「お小遣い稼ぎ」の一環)
**パッキンのケア**
– 使用後は軽く拭き取り
– 週末に、パッキンの溝までしっかり掃除
– 乾燥させることで、カビの発生を防止
2. 週1回のケア
**庫内の拭き掃除**
私の週末の日課:
1. 庫内を乾いた布で拭く
2. 特に角の部分は念入りに
3. 拭いた後、30分ほど扉を開けて乾燥
**噴射口のチェック**
– 週末に噴射口の回転をチェック
– 詰まりがあれば、爪楊枝で優しく除去
– 昔の営業先だった旅館の板長さんに教わった技です
3. 月1回の大掃除
**分解クリーニング**
1. 取り外せる部品は全て外す
2. ぬるま湯につけ置き(10分程度)
3. 柔らかいブラシでこすり洗い
4. 完全に乾かしてから組み立て
**重曹を使ったお手入れ法**
重曹活用法:
1. 重曹大さじ2を庫内に振り掛ける
2. 空運転(お湯コース)
3. 庫内の白い膜が驚くほどきれいに
これは妻の知恵袋から学んだ技。
重曹の力を侮っていた私の目から鱗でした。
6. トラブルシューティング
ま、トラブルもありますよ、正直。
1. よくあるトラブルと対処法
**排水詰まり(我が家の失敗談)**
ある日、突然の水漏れ騒動。
原因は意外なところに…
失敗からの学び:
1. 米粒や細かい野菜くずが排水溝に詰まっていた
2. フィルターは毎回チェックするように
3. 月1回は排水ホースも掃除
**異音発生**
スプレーアームに箸が引っかかり、ガタガタ音が。
以来、「音が違うな」と思ったら、すぐに停止して中を確認するようにしています。
**洗い上がりが悪い**
よくある原因と対策
1. 詰め込みすぎ
– 8割程度の量に抑える
2. 水流が届かない配置
– 大きな食器は外側に
3. 洗剤の量が不適切
– 我が家の場合、タブレット1個が適量
2. 家族との協力体制
**役割分担の工夫**
我が家の「食洗機当番表」
平日:
– 朝→私
– 昼→妻
– 夜→当番制(私・妻・息子)
休日:
– 朝→私
– 昼・夜→家族で相談
**孫との約束(食器の片付けゲーム)**
思いがけず、孫と一緒に楽しめる「遊び」になりました。
– 「どこに入れるのかな?」とクイズ形式に
– 正解したら、おじいちゃんからごほうび
– 食事の後片付けが、孫の来るのを楽しみにする時間に
週末の食器洗いは、今や3世代の「家族の時間」。
家電一つで、こんなにも家族の絆が深まるとは思いもよりませんでした。
7. 経済的な使用方法
営業マン時代、「コストパフォーマンス」という言葉をよく使っていました。
食洗機でも、この考えは大切です。
1. 電気代を抑えるコツ
**時間帯の選択**
我が家の電気料金プラン
料金の安い時間帯:
– 朝:9時~17時
– 夜:22時~翌朝8時
我が家の使用時間:
1. 朝食後:9時スタート
2. 夕食後:22時スタート
「節約のために深夜に動かそうか」という案も出ましたが、音が気になるため断念。
代わりに、時間帯に合わせて家事の順番を組み立て直しました。
**効率的な使用回数**
1日2回に絞り込み:
– 満載にして運転
– 手洗いと使い分け
2. 洗剤の適量把握
**我が家の計量カップ活用法**
粉末洗剤の場合:
1. 100均の計量スプーンを活用
2. 汚れ具合で2段階に調整
– 普通の汚れ→10ml
– ひどい汚れ→15ml
タブレット洗剤の場合:
– 基本1個
– こびりつき汚れの場合1.5個
(0.5個は前回の半分を取っておいたもの)
3. 修理や買い替えのタイミング
**家電量販店での相談体験**
店員さん曰く:
「5年以上使用なら、修理費用が2万円を超える場合は買い替えをお勧めします」
修理のタイミング:
1. 洗い上がりが急に悪化
2. 異音が続く
3. 水漏れが発生
我が家の場合、3年目で1度だけ修理。
費用は8,000円でした。
8. 専門家のアドバイス
専門家の意見は貴重です。
1. 販売店の店員さんの話
私の古くからの顧客である家電量販店のベテラン店員・田中さん(仮名)のアドバイス:
**選び方のポイント**
1. 家族の人数で容量を決める
– 2~3人用:食器40点程度
– 4~5人用:食器50点程度
2. 設置場所の確認
– 放熱スペース:背面5cm以上
– 開口部:両サイド各1cm以上
3. 節水・省エネ性能をチェック
– 年間の水道代・電気代を計算
2. 修理業者さんからの助言
実際に我が家に来てくださった修理士の山田さん(仮名)から:
**長持ちさせるコツ**
1. フィルターの定期清掃
– 「奥様、これだけで寿命が2倍変わりますよ」
2. パッキンの定期点検
– 乾燥後、内側を拭く習慣を
3. 洗剤の選び方
– 安すぎる製品は要注意
– 逆に高すぎる必要もない
3. 娘夫婦(共働き)の使用術
休日に娘夫婦の家で教えてもらった、
新しい使い方:
**時短テクニック**
1. 食器を「朝用」「夜用」でセット分け
– 朝はシンプルに
– 夜は調理器具もセットで
2. 予洗いなしでOKな食器の見極め
– 材質で分類
– 使用後すぐ入れる
3. 取り出し→収納を1分で完了
– 定位置を決めておく
– 立てて乾燥→そのまま収納
「これなら手間がかからなくて、共働きでも毎日使えるでしょ?」と娘。
確かに、新しい発見がたくさんありました。
9. 食洗機のある生活
まあ~、昔に比べて便利だこと!
1. 家事時間の変化
**以前との比較**
食事後の片付け時間の変化:
<導入前>
– 手洗い:約30分
– 乾燥・収納:約15分
合計:約45分
<導入後>
– 食洗機セット:約5分
– 乾燥後の収納:約5分
合計:約10分
※洗浄時間は含まず(その間、他の家事が可能)
**新しい家族の時間**
短縮できた35分で、新たに始めたこと:
1. 妻とのアフターディナーコーヒータイム
2. 孫とのFaceTime(ビデオ通話)
3. 趣味の読書時間
2. 意外なメリット
**手荒れ解消(妻の喜び)**
妻の声:「手荒れがひどくて、指輪が痛かったの。今は昔の結婚指輪がまたはめられるようになったわ」
**節水効果**
<手洗い時の水使用量>
1回の食事あたり:約30リットル
1日3食で:約90リットル
<食洗機使用時>
1回の使用:約12リットル
1日2回で:約24リットル
月間の節水量:約1,980リットル
3. デメリットとその対策
**音の問題**
– 深夜運転は避ける
– 防音マットの使用
– 扉の締まりを定期点検
**電気代の上昇**
対策:
1. 効率的な使用回数
2. 電力会社の料金プラン見直し
3. 節電モードの活用
10. まとめ&Q&A
いろいろまとめてみました。
導入を迷っている方へのアドバイス
1. まずは2週間試してみる
– 多くの家電量販店でお試し期間あり
2. 家族会議を開く
– 役割分担を事前に決める
3. 設置場所の確保
– 工事の要・不要も確認
よくある質問への回答
**Q1:本当に節約になりますか?**
A:電気代は上がりますが、水道代と洗剤代は大幅に節約できます。
何より、時間の節約が最大のメリットです。
**Q2:音がうるさくないですか?**
A:最新モデルはかなり静かです。
深夜を避け、防音マットを使えば、気にならない程度です。
**Q3:食器は完全に乾きますか?**
A:機種により異なりますが、多くの場合、90%程度乾きます。
朝セットして出勤、帰宅時には完全に乾いています。
**Q4:魚の生臭さは取れますか?**
A:専用の洗剤を使えば問題ありません。
ただし、焼き魚の後は庫内の匂い移りが気になることも。
重曹を使うと解決できます。
次回予告(電子レンジの活用術?)
次回は、我が家の「電子レンジフル活用術」をお届けする予定です。
– 解凍から調理まで
– 意外な活用法
– 節電のコツ
40年の営業マン生活を終え、新たな挑戦を始めた私。
家電との付き合い方を通じて、家族との時間、自分の時間の大切さを実感しています。
みなさんも、食洗機のある暮らしを、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか?
【著者プロフィール】
60代・元営業マン。定年後、妻の勧めで家事に積極的に参加。
家電を使った効率的な家事が得意。休日は孫と遊ぶのが楽しみ。