本日は昔の営業マン仲間のお話をします。
こちらもご参考に。
私は以前、営業職として働いていました。
毎日のように行う商談や、チームでのミーティング、取引先との打ち合わせ。
人とのコミュニケーションに追われる日々に、徐々に心が疲れていきました。
「もっと自分に合った仕事があるはずだ」そう思いながらも、具体的な方向性が見えずにいた時、一通のメールが人生を変えることになりました。
それは、祖父が営んでいた畑を引き継がないかという母からの提案でした。
最初は戸惑いましたが、週末だけでも手伝ってみようと思い立ちました。
そこで経験した「植物との対話」が、私の新しい人生の扉を開いてくれたのです。
植物との出会いがくれた気づき
初めて畑に立った日のことは、今でも鮮明に覚えています。
早朝の澄んだ空気、土の香り、そして何より、黙々と作業に打ち込める静けさに心が洗われるような感覚を覚えました。
最初の作業は、トマトの苗の植え付けでした。
「優しく、でもしっかりと」という祖父の言葉を胸に、一株一株丁寧に土に植えていきました。
営業の時のように言葉を選び、表情を作る必要はありません。
ただ、植物の気持ちになって、最適な環境を整えてあげることに集中すればよかったのです。
植物は最高のパートナー
植物との関わりで素晴らしいのは、その「正直さ」です。
適切な水やり、肥料、温度管理をすれば、必ず応えてくれます。
逆に、手を抜けば、すぐにその影響が表れます。
この明確なフィードバックは、コミュニケーションが苦手な私にとって、とても心地よいものでした。
例えば、ある時期にキュウリの葉が黄色くなり始めたことがありました。
調べてみると、窒素不足が原因だとわかりました。
適切な肥料を与えると、見る見るうちに葉の色が濃くなっていきました。
この「問題発見→解決→改善」のサイクルは、まるでプログラミングのようにロジカルで、私の性格にぴったりでした。
農業ならではの魅力
農作業の魅力は、他にもたくさんあります：
1. 自分のペースで作業できる
畑では、基本的に自分のペースで作業を進められます。
急かされることもなく、自分の体調や気分に合わせて、集中できる時間を作れます。
2. 成果が目に見える
種を蒔いてから収穫までの過程で、日々の変化を目で見て確認できます。
これは大きなモチベーションになります。
3. 体を動かせる
デスクワークとは異なり、自然と適度な運動になります。
体を動かすことで、心も健康になれます。
4. 季節を感じられる
自然と共に生きることで、季節の移り変わりを体で感じられます。
これは、都会での生活では得られない贅沢です。
必要なコミュニケーションの形
もちろん、農業の世界でも、まったくコミュニケーションが不要というわけではありません。
市場への出荷や、農協との関わり、時には消費者との直接取引もあります。
ただし、これらのコミュニケーションには大きな特徴があります。
それは、「作物」という共通の話題があることです。
商品の品質や栽培方法など、具体的な話題について話せばよいので、雑談や社交的なスキルはそれほど必要ありません。
また、多くの農家の方々は、口数は少なくても、親切で温かい人が多いと感じます。
独自の工夫と発見
私は自分の性格を活かし、データ管理にも力を入れています。
温度、湿度、施肥量、収穫量などを細かく記録し、エクセルで管理しています。
過去のデータを分析することで、より効率的な栽培方法を見つけることができます。
また、インターネットを活用して、全国の農家さんとオンラインで情報交換することもあります。
SNSやブログを通じて、直接会うことなく知識を共有できるのは、現代ならではの利点です。
新しい可能性への挑戦
現在は、有機栽培にも挑戦しています。
化学肥料や農薬に頼らない栽培は、より深い観察力と知識が必要です。
病害虫の早期発見や、土壌の状態管理など、常に植物の声に耳を傾ける必要があります。
これは、私にとって新しい学びの機会となっています。
失敗も多いですが、それも含めて楽しみながら取り組んでいます。
時には、地域の有機農業の研究会にも参加し、同じ志を持つ仲間との交流も少しずつ広がっています。
おわりに
農業との出会いは、私に新しい可能性を見せてくれました。
コミュニケーションが苦手だからこそ、植物との深い対話ができる。
それは、決して劣っているわけではなく、むしろ強みになり得るのです。
今では、毎朝畑に立つのが楽しみです。
季節ごとの作物の変化を観察し、時には困難に直面しながらも、植物たちと共に成長していける。
この仕事に出会えたことを、心から感謝しています。
もし、あなたも人とのコミュニケーションに疲れを感じているなら、植物との対話を始めてみませんか？
たとえベランダでのプランター栽培から始めても良いのです。
きっと、新しい世界が広がるはずです。
