2018年の西日本豪雨災害で何度かニュースでも取り上げられたハザードマップですが、ご覧になったことありますか?
なんじゃそら?
という方のためにちょこっと説明しておきましょう。
どこの市町村にでもあるハザードマップ
ハザードマップとは国土地理院によると「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」と定義されています。
要するにあらゆる自然災害に対して予測あるいは予想される被害地域を示し、避難経路などを示すことで、少しでも被害の軽減に役立てようとする地図なのです。
もちろん国土地理院が公表しているハザードマップもありますが、自治体単位でもほとんどの都道府県、市町村で独自に作成しています。
これにより自分が住んでいる地域が例えば洪水時に浸水被害が予測されるのか、大雨が降った時には土砂災害に遭う恐れがあるのかといったことを事前に知ることができます。
もちろん自然のことですから100%予測が当たるとは限りません。
また、ハザードマップを信じて避難したのに何もなかったということもあるでしょう。
しかし、あらかじめ危険を予測し、いつでも避難行動に出られるよう日頃の心がけをしておくことは大事です。
岡山県真備町にはハザードマップがなかったのか
西日本豪雨災害で甚大な被害を被った岡山県真備町の例を見てみましょう。
真備町にハザードマップはなかったのでしょうか。
いや、あったのです。
最新版では平成28年8月に作成し、さらにそれを平成29年2月に更新しています。
そして今回の浸水被害地域はそのハザードマップとほとんど合致しているのです。
しかも、その浸水想定区域は実は過去の実績から割り出されたものだったのです。
1972年、昭和47年のことです。
岡山県民には今でも「47年災」として生々しく記憶している方が多くいらっしゃいます。
このときも今回と同様、おそらくバックウォーター現象により小田川が氾濫し、真備町の7,200戸を超える家屋が浸水したのです。
バックウォーター現象についてはこちらの記事でも触れています。
岡山県民を奈落の底に突き落とした大雨災害続報
この浸水被害地域と各種の地質データなどから割り出したハザードマップを倉敷市は作成していたのです。
そしてそれが今回悲しくも的中してしまったということです。
住民はハザードマップを見ていなかったのか
ではなぜに今回、過去の教訓を生かすことができなかったのでしょうか。
ひとつには前回の大雨浸水被害から46年も経ち、住民がその被害を忘れかけていたことが挙げられるでしょう。
昭和47年にひどい災害に遭ったことを高齢者から聞くことはあってもそれが自分のこととして意識されていなかったのかもしれません。
もう一つには勝手な想像ですが、岡山県民の災害慣れしていない県民性が災いしたのという点が挙げられるかもしれません。
実際、浸水被害を受けた直後の住民にインタビューしているニュースを見ると、
「避難勧告が出とったけど、まさか自分の家が水に浸かるとは思うてもなかったわ。」
という人がいました。
日頃、地震や大雪などの災害にほとんど接していない県南の住民ならではの心情だったと思います。
とは言え、岡山県も土砂災害は頻繁にあるのです。
大雨が降れば急傾斜地が崩壊したり、山間では土石流が発生したりすることは多いのです。
でも実際に何の被害にも遭わず何十年も生活している人々が多いのも事実です。
まさに、災害は忘れたころにやって来る、です。
こういった急傾斜地の崩壊リスクや土石流の発生予想地域もハザードマップには示されています。
国や自治体が作成、公表しているこういった事前情報をいかに日ごろから注意し、生活に取り入れているかによって、いざという時に命を守る行動ができるかどうかが決まって来るのかもしれません。
被災地ではまだ行方不明の方がいらっしゃいます。
一日も早い復興を願うばかりです。