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「ダイイング・アイ」東野圭吾ーあらすじと感想、読み所

おすすめ暇潰し本

いつもながら東野圭吾さんの着想には感心させられます。

その起点は深く広いですね。
人が思いつかないようなところから題材を見つけてきてはそこに独自の展開力を加えて見事な作品に昇華させています。

ダイイング・アイのあらすじ

主人公雨村はバーテンダー。
経験も積んでバーテンダーとして自信も付け始めたころです。

ある夜、仕事が終わり店の片づけをして帰宅しようとエレベーターに乗ろうとしていたところ、突然何者かに後頭部を強打されます。

気が付いたら同棲している彼女が目の前にいました。殴られたことすら覚えておらず、彼女から昨夜の状況を聞かされ、訳がわからなかったのです。

自分がなぜ襲われたのか、通り魔的な犯行で誰でもよかったのか。

あるいは自分を狙ってきたのか。
そこではっと気づくのです。
どうも記憶がはっきりしない。
殴られたことも殴られる以前の記憶にもどうもあいまいなところがあることに気付きます。

しかし、自分がバーテンダーであることや同棲している彼女のことなどは覚えています。
ある特定の時期のことだけが記憶から抜け落ちている、そんな状況でした。

 

 

しかし、日常の生活にも仕事にも特に影響があるわけではないので体力が回復してからはそれまで通りに生活していました。

時々、記憶を回復しようと試みるのですがあることを思い出そうとすると強烈な頭痛に襲われます。

雨村は過去に交通事故を起こしたことがあり、そのことを思い出そうとすると頭が締め付けられるように痛くなるのです。

そんな中、ある夜、一人の男性客が店に現れます。
不気味な印象のその男は謎の言葉を雨村に投げかけて帰って行きます。

数日後、その男の死を知った雨村は自分が何か事件に関わっているのではないかと不安を覚えるようになってきます。

そしてまたある夜、一人の美女が客として店にやってきます。

その女の目を見たとき雨村は射すくめられて様な感覚に捉われるのです。

雨村の過去に何があったのか、死んだ男と謎の美女は関係があるのか、事件は過去のものか現在のものか、ダイイング・アイとは何を意味しているのか、息もつかせない展開で物語は展開するのです。

ダイイング・アイの感想

人間の念を感じさせる作品です。
執念、怨念、疑念。
それらの底流に眠る哀しみを感じずにはいられません。

もうひとつ偶然がもたらす悲惨な状況にも目が行きます。
偶然と偶然が行き会えばある特殊な状況が生まれてしまう、それが予想もしなかった悲惨な事態を招くということが誰の身にも起こり得ると認識せざるを得ません。

そのような状況で人は冷静な判断ができるのか、一瞬の場面で打算など働く余地があるのか、考えても答えが見つからない課題を与えられたような気がします。

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