心が震えるミステリー小説「赤い指(作者:東野圭吾)」
認知症、引きこもり、親との同居が上手く行かない、家族の不仲
この4つは今の世代のメジャーな問題ですよね。
それをミックスしたのが、東野圭吾の「赤い指」です。
ミステリー小説ですが、犯人が主人公なので謎はもう解いてあります。
しかし、それでも伏線が物語に散りばめられているため、その謎に気付くかどうかはあなた次第です。
また、ミステリー小説として読まなくても感動的なヒューマンドラマです。
東野圭吾は、ミステリーに感動を与えるのが上手です。
赤い指のあらすじ
主人公は一家の主、前原昭夫です。
認知症の母と引きこもりの息子、口うるさい嫁の4人で生活しています。
嫁は息子を溺愛し、夫と姑の事なんてどうでもいいと思っています。
そんな家庭では息が付けない日々を抱えていた矢先でした。
ある日、引きこもりの息子が近所の女の子を家に引き入れて殺してしまうのでした。
息子が殺人犯になれば、家族はメチャクチャになります。
殺人を犯したのに全く反省しない息子も問題ですが、少女の遺体を近くの公園に捨てる夫婦も問題です。
昭夫はせっせと自転車で少女の遺体を公園に捨て、罪から逃れようとしました。
しかし、そんなド素人の犯罪なんて敏腕刑事にかかればすぐにバレてしまいます。
東野圭吾の大人気シリーズ、新参者に登場する加賀刑事が昭夫一家に目星を付け始めます。
やばいと思った昭夫は、息子じゃなくて認知症の母親が少女を殺してしまったと嘘を言い始めますが…。
赤い指の感想と読み所
赤い指の見所は、認知症や引きこもり、家族不仲などの色んな問題が複雑に絡み合ってる点です。
東野圭吾の小説で一番身近に感じます。
そして、ラストは感動のクライマックスです。
家族愛を一部だけ取り返すのですが、その取り返し方が衝撃的です。
子供はいつになっても親に迷惑をかけたり、心配させたりと親を困らせますが、親はいつも子供に愛を注いでるんだなと思いました。
小説を読み終わった後、昭夫が更生して正しい道を進み、ダメなものはダメだと妻や息子に言える父親になっていて欲しいなと思いました。
それが母親が息子に伝えたかった事であり、物語のコアとなる部分です。
色んな問題を抱えてるのはしょうがないけど、大人がしっかりしなきゃダメだって事です。
ラストを読んでからまた小説を読み返すと、また違った読み方ができて楽しいですよ。
あと、新参者や加賀刑事を知らなくても赤い指は楽しめます。
それらを知ってるなら、加賀刑事の身内話もあってもっと楽しめます。
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